Column

第237話 朝の大谷

数年前から、そう、大谷がメジャーに移籍してからのメジャー情報において朝が楽しみでならない。ヒットを打った走ったホームランを打ったなどなど必ずと言っていいほどにどのチャンネルもトップニュースで伝えてくれる。

特に、ホームランを打ってチームが勝った時などは朝から爽快な気持ちにさせられる。そうなれば気分よくその日一日のスタートを切ることが出来る。推論ではあるが、日本国中の人々がそんな気持ちで朝を迎えているかもしれないと思うとなかなか面白い。

ただ、今年は違っていた。

開幕しょっぱなから胡散臭い話が舞い上がった。寝耳に水とはこんな事だ。あの真面目そうな一平が賭博事件とは、まったく信じがたい話ではあった。ましてや大谷が承認して尻拭いをしてくれたという情報が流れたときには、古い日本人的発想で、やはり大谷は懐が深く思いやりのある人間なんだろうと一時思ったものだが、よくよく考えてみるとそれは共犯と言う事になる。果たして大谷は大丈夫なのかと、心によぎる。

のちにそれは一平の狂言と分かってホッとしたものだ。それにしても次から次からと一平の悪事が暴かれていく。まさか、青天の霹靂である。胴元とのやり取りについての記述ではまるで追い詰められて開き直った悪い奴、と言っても過言ではない程に往生際が悪い。いつものテレビで大谷の横にいて甲斐甲斐しくも動きまわっていた一平とはまるで別人ではないか。二面性にも程がある。

後に、とうとうすべてを白状して、大谷の濡れ衣はすっかりと晴れたが、やはり数年間信頼し続けてきた一平の犯罪的裏切りは、大谷のメンタルをぐさりと鋭利な物で深々と刺したに違いないだろう。それは大きな傷となって大谷のこころに残るに違いない、が、一件落着したことは世界中の大谷ファンに安堵感を与えたことだろう。私も一安心と言ったところだった。どう考えたって、ギャンブルと大谷は結び付かない。余地もない。

その事件が発覚したあたりから、大谷のバットから快音が聞かれなくなっていたが、やや落ち着きを見せた近頃では、待望のホームランも出始めまずまずと言った具合だ。

もうひとつ私の気なる点がある。

それは現在一刀流と言う事だ。かつてはスタートから二刀流と言うスタンスで、打っては投げ投げては打つという隙間なしのその一連の行動がベストコンディションを保たせる要因の様であり、それがあってモチベーションを維持でいていたのではないかと言う事だ。

投げることがない昨今、かつて無かった余分に余裕のある環境で、やや冷えた体でそのモチベーションを維持できるのか、が、素人ながらの私の小さな心配事である。

慣れ親しんだエンジェルス時代は伸び伸びとプレーできていたが、新球団であるドジャースでは未だそんな伸び伸びとした感じはない。新しい環境に順応するまでにはどうやら少しばかり時間が必要なようだ。結果は後からついてくるもの、焦らずにまずは肘を直し、そして通年活躍の目立つ6月あたりからはガンガンとホームランを量産してほしいものだ。

毎朝楽しみにしている。

コラム一覧

ティーバード ブログ&コラム