Column

第217話  雨夏

  2022年夏、これ程長雨が続いた夏は経験が無い。
6月はいつものそれなりな季節感にこれから始まる眩いばかりの夏到来を期待できてはいたものの、7月に入ったとたんにどんよりと重たそうな濃灰色の雲が空一面に湧きだした。
近頃聞きなれてきた線状降水帯なる雨雲の帯が日本上空西から東へと連なり、その帯が日本の南から北へとゆっくりと移動していく。
時には居座る・・・・たまったものではない。
強烈な雨が降り続き、土砂崩れに河川の氾濫洪水被害をまき散らす。今年は南から北まで、ほとんどの地域で大きな災害が巻き起こっていた・・・・たまったものではない。
8月に入ってもそうだった。ずっと雨の日が続く。
そのせいか、庭の芝の元気がいい。かつて庭の一部分は土砂が薄くて通常であれば、他の部分と比べて芝の生え具合が薄かった。しかし今夏は違う。ほぼその部分も生えそろい、濃い緑と化している。
また、いつもの見慣れたアガベがいつもの見慣れた感じではなく、シャキリとまっすぐ背を伸ばし天へと向かって突っ立っている。これが本来の姿なのか、と感心してしまう。
今までのような自然の雨待ちでは奴らには水分が少なかったようだ、とやっと気づいた。
露地栽培ではほっとけばいいと勝手に思っていただけに、やるせない気持ちになった。炎天下のいつもの夏では、時々の水やりを欠かしてはいけないと肝に銘じた。
それにしてもこれ程に雨が降り続くと、私のフィールドはほぼどこにもアウトだ。雨にも負けずに屋外へ飛び出すほどの元気を持ち合わせてはいない、そろそろ今では。
だから近頃は以前に買い集めてあったDVDで映画を見ている時間が増えた。以前は夏に映画なんて家で見たことは無かった、が、この天気では仕方がない。
となると、やはりビールが欲しくなる。ちびちびとビールを堪能しながら映画を見る。
なかなかいいものだ。余計なつまみはいらない、ビールだけで十分だ。
そんなんだからいつもの夏より酒量が増えているような、気がする。いや確かに増えている。
スーパーでビールを買う頻度が増えているのは確実だ。
これではいけない、これが習慣づいてはろくなことは無い。それでなくても近頃血圧上昇傾向にある私の体、ほどほどにしなくてはぼちぼち先が暗い。
それにはやはり、そろそろ太陽にも頑張ってもらわなくてはならない。カンカン照りの太陽が待ち遠しい。そのギラギラ太陽の元で思いっきり汗をかきたいものだ。
そうそう、そうなればやはりあのアガベへの水やりだけは決して忘れてはいけない。

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