Column

第198話  不穏な船出

  昨年末、経済対策に重きを置いた事による、人の流れを促進させるための政府の政策がすっかりと裏目に出たかたちの2021年新年を迎えることとなった。
当初の第一派や第二派をはるかに上回る新型コロナ感染者の高波が日本列島を大きく飲み込み、重症化からの死者は増え続け、感染拡大阻止のめどは立たずで医療体制は崩壊の危機に及んでいる状態だ。
そこで2回目の緊急事態宣言が東京を含めた関東圏などに出されて、再び経済的危機的憂き目の中で皆静かに耐え忍ぶ形となってしまった。その憂鬱状況は緊急事態宣言が出された地域ばかりではなく、追って日本全国に波及することになるだろう。
新年を迎えて素晴らしい希望的観測でのスタートダッシュを念頭に置いていただけにすっかりと出鼻をくじかれた形となってしまった。
果たして「オリンピック」は開催できるのだろうか?昨年中は、たかだかコロナ程度だもの夏までには収束するだろうと簡単に考えていたものだが、その夏にも感染者はまさかに増え続け、いやいや冬には、少しばかり増えるだろうがそこまででそろそろだろうと考えていたそれも大きくはじかれてしまっていた。そして今年、ここまで来るとさすがにこの厄介者の収束を安易に推測はできなくなってしまっている。
新型コロナは世界各地域で変異し感染しやすいものへと進化を続けているらしく、それが世界中で猛威を振るい続けている様子を目の当たりにしていると、やはりオリンピックの中止もしくは再びの延期を考えていく事になるのではなだろうか。
それはそれでしょうがない、が、それぞれ個々の生活の維持は、しょうがないでは済まされない。考えて考えてしっかりと地に足をつけて生きていかなくてはならない。
テレビでは、覇気のない政治家が、自分で書いたものなのか世間知らずな専門家と知恵を出し合って書いたものなのかわからない原稿をうつろな目で覗き込み、淡々と朗読している。まるで他人事のちょっとした状況報告を耳にしている感覚だ。
今年2月末から3月あたりには高齢者や医療従事者を中心にワクチンの接種が始まるらしい。一般的には4月くらいからは始まるという。これだけが現在では救いの情報だ。
うまくいってくれることをせつに祈るしかない。

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