Column

第235話 前代未聞

確かに寒くはない。

この北国八戸の厳寒期である2月に、私のリビングのストーブは静かにたたずんでいる。

いつもなら、絶え間なくぶんぶんと耳障りな音を発しながら懸命に温風を吐き出しているものだ。それがこの時期のごく普通の風情と言っていいのだが、それが無いのは何か物足りなくもあり、また反対に春のような陽光がのどかな感覚でもある。

されどまだまだ2月、やはりこの先気温は下がってくるだろう、雪だって降るだろうと考えながら、この2月を過ごしてきたのだが一向にその気配はない。先日ちらりと空から雪が舞いだして、そら見ろ、やはりきたかと思ったものだがそれはその日で止んでしまった。

あっけないちら見せとなった。

今年は、年初めの膝の怪我がありスキーには行ってはいなかった。例年なら近場のスキー場へせっせと出かけて滑っているあたりではあるがそれはとても残念であった。少し良くなったら1回でも行ってみたいものだ、と思っている矢先だった。

テレビニュース画面に見慣れた双子山のスキー場が映し出されているのが眼に入った。んっ、ここはソガ森では、とすぐに分かった。が、だけどその極ローカルスキー場が何で全国ネットのテレビに映っているのだろうと不思議だった。

「このスキー場、今年は雪不足でオープンできてはいなくて、今年は営業できずにこのまま終了との事です」とアナウンサーが言った。

まさか、と思った。かつて見聞したことのないフレーズだ。

確かに画面の中にあるゲレンデのあちらこちらには芝が見え隠れしていて、とてもじゃないがスキーやボードで滑れる状態ではないように見えていた。当然ながらリフトは止まったままだった。

こんな気温の緩さだから雪山だって雪は随分と少ないだろうな~なんて思ってはいたこの頃だったが、ここまでとは思ってもみなかった。

前代未聞、と行ってよかった。

今冬のこの異常な気温の高さでは、冬季に普通だったことが出来なくなっているのが現状なのだろう。確かに経験のない2月を過ごしていると言っても過言ではない状況ではあるがあまりにもな現状に愕然としてしまう。先日天気予報では、気温19℃を越えている日が注目を浴びていた。有り得ない数字である。

この先どうなるのだろう、私には皆目見当が付かない。

株価はバブル期以来の高騰を続けている事には日本企業の頑張りと理解はできるが、季節は季節らしい適温でいてほしいものだ。

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