Column

第265話 正解はどこにある

近々、野良なセミ騒がしい近所の公園にて毎年恒例の花火大会がある。

決して有名な花火大会ではないが、ローカルの気張らない優しいやつである。それでも蒸し暑い夏の夜空に打ちあがる大輪の花火は、見る者を笑顔にする力を十分に持ち合わせている。昨年一緒にその花火を眺めたメンバー達に(昨年は6名程が来てくれていた)、今年もその花火を一緒に楽しもうと私は連絡を入れてみた。

それはいいねと、すぐにも返信があった。皆乗り気だ。

その日のために町中華でうまいと評判の店に足を運んで、私はエビチリ等数種類の料理を注文しておいた。その花火大会の日にテイクアウトする予定だ。

ドリンク関係は前日にでもそろえておけば万全だ。あとは天気次第である。こればかりはその日を待つしかないしそれこそ時の運でしかない。ただ、通常の花火大会と言うニュアンスから言えば、その場所にまでわざわざ向かって行く移動がついて回るが、この花火大会はなにせ近所での事、無理しなくても家の中からでも見物できるくらいだ。だから雨と言うまるで不機嫌な天候にそれほど重きを置いてはいなかったのは事実である。

料理は万全、ドリンクだってすぐにゲットできる、あとはその日を待つだけだ。

その大会の前々日、大粒の雨が天から舞い落ちる。雨男の私には雨に何の違和感もないのだが、明後日の花火大会の事を考えるとやや自身を恨まないでもない。

翌前日も雨が続く。天気予報を覗いてみると無情にも明日は大荒れの模様。

まじか、どうする。

私は少し考え込んだ。なぜなら、多分、この不安定な空の調子ならもしかしたら花火大会は中止になるかも知れないからだ。午後になってその花火大会のSNSを覗いてみるとやはりの中止のアナウンス。やはりだめか、がっかりと肩を落とす。ただ、明日は中止になるのだが1週間後の日曜日に延期するとなっていた。微妙だ。これだってもちろん天気次第だ。翌週がかならずしも晴天とは限らない。どうする、またまた私は考え込んだ。

結局私は、花火大会の集いを中止にすることにした。

花火が主役、みんなはやはり大輪の花火が見たいのだ。この予測的雨の日、ただただ集まって食事するのは何かが違うような気がしたからだ。だがどうだろう、よくよく考えてみると、この日ここ来る事を予定に入れていていた人それぞれがそれぞれの考えを持つだろう。花火はこの集いの華麗なるエッセンスであり、そのアフターで食事をしながら会話を楽しむことがメインの人もいるかもしれないし、純粋に花火が見たい人も当然いるだろう。誰がどう思うのかも皆目見当もつかない私は、やむなく中止と言う怠惰な決断をしたのだ。

当日、やはり激しい雨がアスファルトをたたく。虚しい騒音だ

私は午前中のうちに正式に中止を伝えた。料理を注文しておいた中華店にも電話をしてキャンセルを伝えた。料金はすでに支払っておいたので「またあとで注文します」と伝えて電話を切った。料金を支払っておいて良かったと思った。もし払ってなければただの当たり屋的な客の部類に寄せられるだろうから、払っておいてあるからこそ私はそことまだ健全につながっていると安心できた。

それでもこれで本当によかったのか悩む。もしそのまま強硬的に飲み会として開催して置いた方が、例の中華もキャンセルする必要もなかったし、皆でわいわい楽しめたのかもしれない。そう思うとなんだかやり切れない。どの流れが一番の正解なのか、私は未だわからないでいる。

それはそうと「今年セミが鳴きだすのが例年より少し早くないか」私はふとそう感じた。

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