Column

第221話  コロナ22

  前日までは、そう、まったく何の違和感もおかしな兆候もなく過ごしていた。
それは突然だった。朝、目が覚めてすぐに解った。
このじわ~んと重たい体の感覚、まるで望遠鏡を透して見ているような辺りの様子、そして背中から肩への悪寒、これは経験上間違いなく風邪だろう。
今日は確か土曜日、週末の大事な日だ、どうしても仕事に向かわなければならない。
私は起き上がり、サイドテーブルに置いてあったフリースのパーカを羽織って体温計を取に1Fへと降りて、そしてその場で体温を測ってみた。
こんな時はカウントも早いものだ、すぐに体温計はピーピーと言いだし、脇から外して覗いてみると28,7度、これはまずい。このご時世、もしコロナだったら尚更だ。
申し訳なかったが仕事は休ませてもらった。
すぐに救急に電話して事の次第を伝えると、発症後すぐの検査では判定が困難との事で、いち日様子を見ることにした。
翌日もやはり熱は下がってはいなかった。そこで再び救急に電話を入れるとすぐに来院できるかと事、私は財布等大事なものを手に早々出かけた。
結果は残念ながら陽性だった。
初めてのコロナ、胸中穏やかではない。もちろん自宅待機、世間では重症化の末亡くなる事例も数ある中、果たして私は大丈夫なのだろうか、不安感は残る。それでもその救急ではその場で薬なども用意してくれていたので、多少なりとも安心感につながる。
3日で熱は下がってくれた。
インフルエンザには一度かかったことがあるがそれとはなんだか違うような、症状的には通常の風邪と呼ばれる感染症に似ているような感じがする。
ただひとつ違ったのは食事が取れないということだった。インフルエンザでも風邪でも、食事に関しては何の問題もなく以前は取れていたのだが、今回のコロナに関しては3日~4日ほど食事が喉を通ることはなかった。食べ物を口に入れるとすぐに吐き気が来る。その口に入れたものは目をつぶって飲み込むのだが、次を口に入れる気はどうしてもしなかった。それでも水分だけはと、山登りでの疲労回復にコーラをよく飲む私は、炭酸水やコーラを喉に流し込んだ。
それでも4日目からは少しづつ食事も取れるようになり症状も落ち着いてきた。そこで昼間は起きて居間で休んでいるとやはりテレビが時間つぶしとなる。こんな時しかじっくりとテレビを数時間もつけっ放しで見ることは無い、が、午後、刑事もののドラマの多い事には驚いた。大半のチャンネルは数々の過去の有名な刑事ドラマが折り重なって放映されている。午前中にも一部やっているが、すでに現実世界では亡くなっている俳優も出ている。
私はそれ程集中して刑事ドラマを見たい訳でもないので、重なるドラマを少しづつ交互にチャンネルを変え、変え、変え、同時進行で見たりなどしていた。見終わった頃には時間だけがワープしていた、内容は何だったかなんて思いだすこともなかった。
そんな日が続くと、気楽な我が家でもなかなかつらい。熱が下がっているからなおさらだ、単なる風邪なら仕事に出ているところだろう。
あれから1週間、単調な日々からようやく解放された。解放されてまた仕事をしだすと、不思議なことに、家での不本意な滞在が懐かしくなる、まぁそんなもんか。
それにしても完治できてよかった。
運よく救急で対応してくれた事は大きいだろう。
お世話になりました、ありがとうございました。

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