「大腸にポリープがありますね、それも2個」
いつもお世話になっている病院の先生からの有り難いお言葉。
かつて病気と言えばカゼくらいで、ほとんどが1~2回通院して駐車をうてば、いやいや、注射をうてばそれですんでいたのだが。
しかししかし、今回はちょっと事情が違うらしい。
「このポリープのひとつは直径10ミリを越えてるから早めに切除したほうがいいですね。
紹介状を書きますからそちらの大きな病院で摘出手術を行なってもらってください。うまく行けば2泊3日の入院でなんとかなると思いますよ」
入院とはどんなものなのだろう・・・・・。
まったくの未知の世界、好奇心的期待と想像の付かない不安が入り交じる奇異な感覚。
2泊3日と言うお泊まり保育的短期間なのだが、いつもアメリカ出張に使用するボストンバックがアメリカ出張に出掛ける程にいろんなものを押し込みパンパンに膨らんでいる。
いったい私はどこまでいくつもりのだろうか?
準備万端、さぁっ、いよいよ出発だ!
おお~、4人部屋なのだが、なんと快適そうに区切られた空間ではありませんか。
ビジネスホテルのシングル並の広さと設備、早速着替え等をロッカーに収納し、患者用のパジャマに着替えたのであります。
それにしても素晴らしい対応の看護士の方々、至れり尽せりの介護に私は感動すら覚えたのであります。
そしてその日の夜は「ポタージュスープ」のみがだされ、それを小さなスプーンでありがたくもちびちびと腹に入れたものの、テレビCMのミスタードーナツの黒く丸い奴がどうしても頭を離れず「治ったら絶対に食ってやる」と心に決めて、なんとか就寝。
それでも部屋が落着くせいかたっぷりと熟睡、翌朝が音も無くやんわりとした光と共にやってきたのです。
いよいよ手術の日だ。
その為のこの大きな下剤がドカンとテーブルの上に。
午前の8時までには早目にこれをやっつけて腸の中をからっぽできれいにしなくてはいけない。
せっせと汗しながらもこの液体を飲み続けたのであります。
すると・・・・「来た~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
まるで水道の蛇口をひねったかのような肛門からの怒濤の流水。こうなったらもう止まらない。
最後の最後には、これって飲めるのか、くらいの清水に・・それはないな。
そして無事にポリープを全摘してもらったのであります。
2個だったはずのポリープは実はもうひとつ発見され、全部で3個を難無く焼き切る事に成功し、そして手術も終了したのであります。
それにしても担当のN先生の何一つ無駄のない技術はすごい、の一言でありました。
ありがとうございました。
翌早朝、東の空にはオレンジ色の明るい太陽が登り始めた。
なんだか平和でいて新しい人生の始まりのような清清しい景色だ。
「え、オバマがノーベル平和賞受賞、・・・世界の核を摘出して欲しいものだ」
まだ数日間、肛門は踏ん張れませんが、仕事は踏ん張るつもりです。