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ナイス・トリップ

ある晴れた朝、テレビのスイッチをONにすると衝撃的な映像が飛び込んできた。
海女さんがかわいい・・・・・のだ。
何かのイベントにタレントが挑戦しているのだろうと気もそぞろに眺めていると、なにやら本物らしい。
まさかと思い寝ぼけ眼をふた拭きして凝視。

「うわぁ~なんてかわいい人だ~しかも本職の海女さんなんだ、それに久慈って~とても近いじゃないか~藤川市議といい、この南部地方は美人の宝庫ではないか」
伝統の海女を絶やしてはいけないと健気にも勤しんでいるその姿に感動。

そう言えば先日友人がこんな事を言っていた。
「俺は久慈の千草のラーメンが一番好きだな~あのチキンスープが最高なんだよ!」
ラーメンに目のない私の心の奥底にこのフレーズがしっかりと残っていた。
いつか機会があったら、ぜひともそのラーメンを食ってみたいと思っていた。
そうなのだ、これが絶好の機会ではないか。
と言う訳で次の休日、バイクでビューンと向ったのでした。

AM11:00 ー久慈駅に到着ー
千草のラーメンが先か、海女さんが先か、迷った末に海女さんに決定!
しかし、ここから何処へ向えばいいのだ。さっぱりと方向性を見失った私はこちらに向って歩いて来る老婦人に尋ねてみる事にした。
「あっすみません。怪しいものではありませんので御安心を。実は最近テレビで見たのですが、この地に伝統の海女漁があるとの事で、ぜひそこに行きたいのですがどちらへ向えばよろしいのですか?」
私はなるたけ丁寧に言葉を選んだ。
「はっはっはっ~な~にまだ、あの若い娘に会いに行ぐんだべ。その道路を左に行って、橋を越えたらまだ左、それを真直ぐ行げばいいよ。ちょっと遠いよ」
どうやらすっかりとおみとうしの様であった。
「いやいやいや、おかあさんもなかなかどうしてお若いですよ。ありがとうございます」
私はしっかりとお礼を言ってアクセル全開向ったのであります。


切り立った岸壁にか細い道路が沿うように設けられていて、かなり危険な臭いが漂う風景だ。
相互交通なのだが車一台しか通れない所もちらほら。落石なども危惧される険しい道程だ。


そんな険しく立ちはだかる環境をもものともせず突き進む事数分。目的の海女の館が見えてきた。
とても素朴な佇まいでなんだか心が和む。顔だけ出して写真を撮る海女パネルにちょっぴり心がそよいだが、いい年こいてやっぱりやめておこう。
海側に誰もいなかったらそのまま帰ろうと軽く考えていた私は、なにげにこの建物の裏側へと歩を進めたのであります。


「えっまさか!彼女達がそうか!え~しかも撮影中!」
私はラッキーでありました。ちょうどテレビの撮影が行なわれている様子。
彼女達に偶然にも会う事が、すぐ側にまで近付く事が、出来たのであります。


私は幸せものであります。
さりげない自然な姿をキャッチする事が出来ました。
しかしであります。この日の気温はまあまあ高めではあったのですが、今は9月、きっと海の水は冷たいはず、しかも濡れた衣装のままでの作業はなおさら体温を奪って行くのです。
ちょっと寒そうに見えたので、カゼをひかなければいいがと思った次第であります。
撮影の邪魔になるのもなにかと、数分でここを後にしたのでした。


再び久慈市内に向けバイクを走らせ「らーめん千草」へと到着。
きれいな町並みに、なかなかモダンな店構え。
さっそく「ラーメン&小ライス」を注文したのです。


うわぁ~うまそ~!
ズッズッズッズーーーーあ~うめ~!トリダシが強烈にきいててうっすらと浮ぶトリアブラが良いコクを出している。
奴の言う通りこれは食いに来る価値がある味だ。
良かった良かった体もホカホカにあったまった。スープまで完食。

本日、私は、なんとふたつの幸せをゲット出来たのであります。
本当にナイスな一日でありました。
この幸せがいつまでも続いてくれますよ~にと願い、とっとと帰途についたのであります。

しかし、海女の彼女達、あんなにいろんな人々が押し掛けて撮影だとか何だとか、平穏な生活が一変したんだろうな~大丈夫なんだろうか。
つられて行ってる私も悪いが、なんとか乗り切って欲しいものだと切にねがったのです。
後、十年もしたらまた行ってみたいね。


笑顔で頑張る彼女達に千草のあの温かいラーメンを食わせてやりたいものだと思った、名も無きおっさんでありました。

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