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  第7話  一酸化炭素中毒事件(1)  
   
馬場町で最初の店をオープンさせたのは1987年の春である。
その当時、平日でのお客様の来店数は片手で数えてもおつりが来る程度のものであった。
『今でもたまにあるが…。』
ある日などはやはり来客もなく、私はカウンターに両手を掛けたまま、店の内側から窓ガ ラスを経て, 表の道路を右から左へと一方向に流れて走って行く車両を、意識もせずにボ ーッと眺めていて、あろうことか目が回ってしまい、その場にしゃがみ込んでしまったと 言う情けない事さえもあった程だ。
そんな調子でも、なんとか半年が過ぎその年の冬がやって来た。
店には小さなファンヒーターがひとつ…。
6坪の店鋪なのでそれだけで充分な筈ではあったが、その年の冬の寒さと懐の寒さは半端 ではなかった。
あれこれと考えた末、自宅で使用しているなけなしのヒーター1台も、店の方で使用する 事に決めたのだった。
この2台で、なんとかこの厳しい冬をしのげると思っていた矢先、馴染みの銀行員Sが久 し振りに訪ねて来て、
「このストーブやばいんじゃない、お店の中がなんだか臭いよ。」と言い放ったのだ。
私自身もそれは若干感じてはいたが、臭いよりも暖かさを選んでしまっていたのだ。
だがその日は別段何事もなく、売り上げもなく無事に過ぎ去って行ったのだった。
問題は翌日に起きた。
いつもの様に店を開けストーブを着け、全てのセッティングを終えた私は、店の裏側に設 置してあるストーブの前で朝の一服、タバコを1本吸い始めたのだ。
するとなんだか目が回って来るではないか。
それも徐々に強く回りだし立っている事すらもままならない。

そして、今度は吐き気が襲って来た。
私は、真直ぐには歩けない状態にまで陥ってしまっていたので、壁伝いになんとかトイレ まで向かい、そして吐き続けた。
目の玉が恐ろしい程左右に揺れ痙攣しているのが解る。これはただ事ではない。
これは間違いなくストーブのせいなのかもしれないと、吐きながら思った。
そう言えば確かに臭かった。
私は幼い頃に一度一酸化炭素中毒にかかった経験がある。
(この時の経験については後のコラムにて。)
今思えばその時に嗅いだ事のある臭いに近いものがあった様に思う。
一向に目眩と吐き気は止む気配すらなく、とうとう私はこの日の営業を諦め、カミさんに 連絡を取ったのであった。
無事に自宅へ辿り着いたもののやはり目眩と吐き気は止まらない。まぶたを閉じていても 目玉は左右に痙攣し続けているのだった。
翌日もしかり、まったく快然のかの字もなかった。
どうしても真直ぐには立てない状態なので、やむなくカミさんに手を取ってもらいながら 病院へと向かったのだった。
待合室で名前を呼ばれ、やはりカミさんに手を取ってもらいながら先生の前へと進んで行 った。
そして、昨日からの経緯と現在の症状を、出来る限り詳しく先生へと伝えたのである。
すると先生は眉間にシワを寄せ、しばらく考えたふりをした後に私に向かって軽くこう言 ったのである。

「カゼですね。」と。

私はイスからずっこけそうになった。

「な・に・が・カ・ゼ・じゃ~!!」

何かの番組のコントか?ここにいては危ない。私は私自身を信じて生きて行こう。
その後、怒りと呆れで私の自然治癒力は倍増し、薬も飲まずに翌日には完治していた。
ん、いやまてよ、先生の狙いはそこにあったの?

まさか………。

 
   
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