![]() |
||||||
![]() |
![]() |
|||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
HOME > COLUMN > 第38話...神との出会い~後編~ |
![]() |
![]() |
![]() |
|||
![]() |
||||
![]() |
![]() |
|||
![]() |
第38話 神との出会い~後編~ |
|||
コンビニの情報誌で数件のホテルをピックアップし、三軒目でK二号と私はそれぞれの部 屋を確保する事が出来た。 どうやらこの悪天候のせいで何処のホテルも宿泊希望者が跡を絶たない様子であった。 幸運にも今夜の宿を確保出来きて一息ついたのだが、そのホテルには食事をする設備もビ ールや清涼飲料水の自販機さえも用意されてはいなかった。この事実を知ったK二号はホ テルの傘を借り、疲れた体に鞭打ち食料等の買い出しに出掛けてくれたのであった。 申し訳なかったが、私は先にシャワーを浴び、ずぶ濡れの服を全て洗濯機に突っ込み、裏 が透けて見えるまでにたっぷりと水分を含んだ札を財布から全て抜き出し、テーブルの上 に綺麗に並べたのである。明日には服も札も乾くだろう。 その一連の作業を終えた時、ビールと食料のたっぷり入ったポリ袋を両手いっぱいに抱え たK二号が帰って来たのである。私は自身の身の回りの事に夢中で時間の経過は全く頭に 無かったのだが、置き時計に目をやるとホテルに着いてから既に40分が経過していた。 それは、K二号がその時間を買い出しに費やしたと言う事である。 聞けばこのホテルの近所は住宅街で簡易な雑貨店すら見当らず、コンビニを求めてさまよ い続けていたらしいのだ。この嵐の中申し訳ない気持ちでいっぱいであった。疲労もピー クであったろう。ありがとうK二号! 外は未だ激しく風雨が吹き荒れ、ホテルの部屋の窓にも大きな雨粒が勢い良くぶつかる音 が鳴り響く中、たった今シャワーで生き返ったK二号と、電話で仕事を一通り片付けた私 は、生きてここに存在している事に対して冷えたビールで乾杯した。 途中、何度命の危機に遭遇した事か。壮絶な旅の序章であった。
コンビニで出会った例の神の使いである美しい女性は、かなりしつこく私に付きまとって
はいたが、あの身も心もボロボロの状態での第一声で『神を・・・』と言われた瞬間、私
はにわかには受け答えが出来ずに、唖然とした面持ちで突っ立っているだけであった。彼
女が駆け寄って来た時点の有頂天心理から、勧誘と知った時点のテンションの急降下に、
心と体が付いて行けなかったのだ。矢継ぎ早にまくしたてる彼女の神の言葉をボ~ッと遠
い耳鳴りの響きの様に感じていると、この人ちょっとおかしいのかな?と思ったに違い無
かった。雰囲気で解ったが、それで良かった。私に哀れんだ目を向けたかと思うと、
翌朝、私は早めに起床しホテルの電話帳で近所のバイクショップを探し、故障中の自身の
KAWASAKIの修理を頼んで来た。次にその足でレンタカー会社に立寄りワンボック
スのバンを借りたのである。昨夜K二号と話し合い、ここから富士山までは車で行こうと
言う事になったのだ。K二号のショベルはこのホテルで預かってもらえる事になり、チェ
ックアウトとともに再び出発したのである。快適であった。昨夜までの暴風雨が嘘の様に
晴れ上がり、空はどこまでも青かった。
彼等は待ち合わせ場所に既に到着していた。久し振りの再会である。社会に出てから5人
揃うと言うのはなかなか無い事だろう。懐かしさとうれしさでいっぱいだった。 まさに神との出会いであった。 ※この後K二号は愛車であるショベルを駆り、日本一周の旅に出た。その日本一周を成し 遂げた後、オーストラリアへ一年間遊学し現在のBAR経営に至る。私は体力強化の為近 くの小さな山に時々挑み続けている。あれから数年経過し、そろそろ一緒に富士山を制覇 したいものだと考えている。
|
||||
![]() |
||||
PAGE TOP ↑ |
![]() |
||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
copyright (c) T-bird 2009Allrightsreserved |