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第158話  湧き出る泉と憂鬱

  心地よく乾いたそよ風が頬横をなでる程よい9月、店には連日続々と秋冬新作の洋服が入荷している。
半年前、中には1年程前に注文しているものまである。それだから記憶の薄いものまであるのだが、記録を見るとちゃんと発注してある・・・・・やっぱり。
入荷してくるその洋服の採寸及び各データを取りネットに反映した後、きちんとたたみなおして店内に並べる。そのとき、いつも思う。
それは、それぞれのメーカーを支えるデザイナーとしての能力の偉大さだ。それは研ぎ澄まされた感性であったり時代を読みきる力であったり、あるいは時間をかけて収集してきた膨大な参考資料を生かすセンスを兼ね備えていなければ何も生まれないということだ。
それも毎年毎年、春夏秋冬4季に渡っての洋服を作り続けていく、私のような凡人には到底かなわない能力である。
「物を作るって楽しいんですよ、作りたいものがまだまだたくさんあってそれらを順番に形にしていきたくてしょうがない、次はこう言ったものにも着手していきますから期待してくださいね。」
K氏はそう言うと、いたずらな少年のようににこりと微笑んだ。
デザインはもちろんの事、素材だったり色だったり確かに人を引き付けるエッセンスを含んだ「着てみたい」洋服がそこにはずらりと並んでいる。
「永遠の定番商品をつくりたい」遠い昔、Y氏は私にそんなことをつぶやいた。
簡単ではない構想である。しかし彼はすでにその志高い構想に近づき、そして実践しているように映る。並大抵の努力ではない。
1990年代初頭、新たにメーカーを立ち上げたばかりだったT氏。ジーンズのユーズド加工を作るのに、自宅のふろ場で一本一本藍にまみれて格闘していた。現在のように専門の加工業者なんていない時代だ。一本完成させるのに相当の時間を費やしていた。備わっていた感性と根気と推進力、それがあって今があるに違いない。
やはり口にはできない、私たちには想像もできない葛藤の中で皆戦っているに違いないはずだ。折々の展示会前の数日、ゆっくりとベットに入っている人はいないだろうと想像する。期限という大きな絶壁が標高高く待ち構えているからだ。
湧き出る才能と憂鬱と努力の結晶が時代を作り出す洋服であり、人々を引き付ける源泉である。
デザイナーの方々の底無しな感性の泉と惜しみない努力があってこそ、私たちの生業が成り立っているのである。それを胸に私たちもしっかりと努力していかなくてはならない。

 
   
   
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