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第150話  腹筋力・あれから

  大晦日を迎えての夕暮れ、SとTが蕎麦の差し入れを持参してここに顔を出してくれた。毎年気にかけてくれている事に頭が下がる。
腹筋を鍛える事に目覚めてから数カ月、毎日ジョギングの後に少しづつ続けてきていて、たっぷりとたるみを湛えていたそれは以前よりはかなりましになった、と想いっている。
「Tちゃんどう、腹筋腹筋」
私は蕎麦を詰め込んだビニール袋を持っていないTの右手の方を取って私の腹部にあてがった。その手は私の腹筋のつまっている奥の方ではなく腹筋の外側に未だへばりついている脂肪層を一握り、するとどうだ、プヨヨンッとふぬけて波打った。うーん、まだまだだ、
まだまだ6パックの息までは達していない事を私は自覚しなければならなかった。
意気消沈、もう少し頑張ってみようか、そう思った。
しかしそれは、数ヶ月前までの軟弱状態とは少しばかり違っていた。
確かにプヨプヨの層は存在するのだが、その奥にある筋肉はあきらかにピキリと固く、以前に比べて頼もしい程に引きしまっているのである。
腹筋鍛え初めのころはすっかりと風邪をひいてしまい残念ではあったが、その病的期間はほんの数日ではあったが以前よりも短縮できていた。そのあとは幸運にも風邪をもらう事も無く平穏に過ぎていた。そしてその後もコツコツではあるが腹筋運動は続けていた。
12月も半ば、その時が突然とやって来た。
まず腰痛から始まった。朝目覚めると腰の両脇に激しい痛みが走った。次に左胸にチクリチクリと針で刺したような機敏な痛みを感じた。普通ならどこかでぶつけたか、それとも寝ちがえたか的原因を探求するのだが、私にとってはこれこそが風邪の前兆なのである。
次第に全身倦怠感を伴い、あきらかに先にあるだろう体温低下を呪った。
「まさかこの休めない時期に、風邪か?」
私はその腰の痛みをかばいつつも早朝のジョギングを強行した、なんとかなるものだ。
そしていつもどおりの腹筋運動も腰をかばいつつ遂行したのである。それから数日、腰痛は徐々に薄れ、7日もたつと普段通りの生活が出来るまでに回復して行った。
不思議な事にそれ以上の風邪の症状は封印されていた。
くしゃみを数回するもそれ以上の症状も無く、咳も出なかったし当然のようにやってくるはずの体温低下によるふらつきも出なかった。
腰痛が回復すると同時に風邪っぽい初期症状もまったくと言っていい程に薄れた。
「例の腹筋力のおかげか?」単純ながら私は納得していた。
これはやはりいいのかもしれない、あの妙に明るく怪しいスポーツインストラクターの言う事はあながち間違いではないのかもしれない、そう思った。
まだまだ続けてみよう、そうすれば厄介な風邪とは永遠にお別れ出来るかもしれないから。
そしてもうひとつ、Tがグイッと挟み込んだこのプヨプヨのプリン層をもう少しの努力で無くさなくてはならない。
「この忙しい時にいつもありがとうね、この蕎麦があっての年越しだからみんなまたきっと喜ぶよ、さぁ、2階でちょっと休んで行ってよ、さぁさぁ・・・」
さっきの軟弱な腹筋の事はさておき、私はわざわざ来てくれた二人を暖かいオフィスへと導いた。

 
   
   
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