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第146話  胸中

  「こっちこっち、そう、その色の入ったやつ見せて」
「ああこれね、これカッコイイよね、つけてみてよ」
「どれどれ」
N君はそのサングラスを受け取り全身が映せる大きな鏡の前で付けてみる。
「これやっぱりいいね」
「そうでしょ、それ、俺ははじめっからN君に似合うと思っていたよ」
Jは心底そう思うと言ったそぶりで言葉を返す。
「またまた、うまいからなJは・・・」
私は横目でちらり、ふたりのそのやり取りを流し見ながら聞き耳を立てる。
いい光景だ、と思う。
古くから店に通ってくれている気心知れたひと達との気取りのない会話が心地よい。

「へーそうなんですね、転勤で、それでどちらからですか?」
「長崎からですよ」
「えっ、長崎って、九州からですか」
Sは驚きの表情をあらわに聞きなおす。
「そうなんですよ、初東北初八戸なんです」
初めて来店していただいたその方はそう言って笑った。
今季初めて雪路を経験するだろうその方への心構えをSは切々と語り、行ったことも無い九州の話に聞き耳を立てる。転勤族の方々との会話も弾む。

「種差海岸に行って癒されましたよ、あのきれいな芝生にごろりと寝転んだけど、気持ちよかった。」
岩手から車で訪れた若いカップルがそう言った。
「種差いいですよね、ところで食事も満喫されました」
「八食で海鮮丼を食べました、うまかったですね、今回思い切ってこっちまで足を延ばしてみて良かったですよ、ところで、ここネットで検索して来てみたんですけど、八戸にもこういった洋服屋あるんですね」
「ちょっとちょっと、八戸だって洋服くらいはあちこちで売ってますよ、勘弁してくださいよ」
「自分の好きなブランドがあったからびっくり、しかも探していたやつがあるじゃないですか、これ着てみていいですか?」
「もちろんです、どうぞ」

そんな和やかな触れあいがこの隔てられた異空間のなかでは往々にして生まれる。
思いもよらない遠方からの来客に恐縮し、数年ぶりの再開に歓喜し、個性豊かな人々との会話のなかに楽しみを見出し、そのさりげない笑顔に癒され、そして初めての出会いに驚きや喜びを感じる。そんな、いい時間をこれからも過ごして行きたいものだが・・・。

近頃、昼休憩の後がふらりふらり、腹も満たされた午後は過度な眠気に襲われている私。必死にごまかしごまかし体を動かしながら目を覚まさせる。夕方6時を過ぎたあたり、じわりと足裏に鈍痛がはしり、フクラハギに乳酸が満ちたような不快感、もも筋がギシギシと油の切れた引き戸のように軋む、そして再び強烈な睡魔に襲われ始める。鉛の瞼がこれまた重い。
「若いころはこんな事は無かったのに」なーんて、どこかで聞き覚えのある陳腐なフレーズが過る、が、いやはやその通り。
そんな不甲斐ない内的状態に「引退」のふた文字がぽかりと浮かぶ。
いやまてまて、友人Tは昼夜仕事しながらもあんなに元気に活躍しているではないか。風邪なんかひいたことないよ、なんて事も言っていたし、たいしたものだ。
ジョギング中によく私に声をかけてくれる漁師の父さん母さん達だって私より随分と年長だけれどあんなに元気に仕事に精を出しているではないか。
早朝のテレビショッピングでうまそうに「青汁」を飲んでいた「ホルモン屋」の元気な父さんは80代だったではないか。
髭まで白髪交じりになってしまったが、私も何か対策を考えればまだまだやれるはずだ。
そうだ、昼の弁当はやはり大盛りにしておこうか。いやまて、大盛だとますます強者の睡魔が襲ってくるかもしれない、が、まぁいいか、地に足をつけて立ち上がっているためには大量のエネルギー摂取は必要不可欠だ。それに学生時代にも授業中、あれだけ無数の睡魔群と戦ってきていたわけだからその経験を生かそう、ん?それは無意味か。
とにかくもうひと仕事、「そろそろ止めたら」と言われるあたりまで、栄養つけて張り切ってみよう。バトンをしっかりと渡せるように。

 
   
   
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