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HOME > COLUMN > 第12話...鷺宮事件簿 |
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第12話 鷺宮事件簿 | |||
学生として東京に出た当所、私が居住していた場所は杉並区鷺宮と言う所だった。 最寄りの駅は下井草と言い、西部新宿線沿線のまだ辺りには畑なども残っている程の、き わめてのどかな小さい町であった。 住んでいたアパートはと言えば木造2階建で、どうひいき目にみても当時既に築40年以 上は経過しており、ピサの斜塔さながらに建物全体が斜に傾いて建っていると言う全くも って奇妙な様相であった。 内部の設備等と言えば4畳半一間の共同トイレ、共同炊事場、さらに風呂なしで家賃は3 万円であった。もちろん電話などはなく、実家からの連絡はもっぱら電報であり、初めて 電報と言うものを受け取った時などは、家族の不幸事かと勘違いして一時的に心臓の鼓動 が早まった程である。 風呂なしの身であった私は、僅かでも時間が出来ると下井草駅前商店街の一画に古くから 存在していたであろう佇まいの、まるで「神田川」と言う曲でも流れてきそうな銭湯へと 毎回出向いていたものだった。 だが、当時貧乏学生であった私は、学校が終わると夜の街でアルバイトもしなくてはの状 況であり、どうしても深夜の帰宅が多く時間的になかなか銭湯へは頻繁に行けないでいた 。その私の部屋の隣には早稲田の学生が住んでおり(後に袋ラーメンをくれた方である) 彼は貧乏学生には贅沢品である自転車を所有していたので、銭湯の閉店ギリギリの時など には、時々その自転車をお借りしていたものであった。
その夜も、銭湯の閉店時間に間に合うかどうかの瀬戸際であった。
何がなんだか理解不能に陥っている私に向かって、ひとりの警官が (ここで騒いではいけない)
そんな行動をとればやはりまるで私が何かの犯人の様だ。自転車をその場に残し、風呂道
具を抱えた私はパトカーへと冷静に乗り込んだのだった。 (おいおい、冗談はよし子さん。)
その時点から、私は辛い尋問を受けるはめになってしまったのだ。 「どうやら、真犯人を逮捕したらしい。アッハッハッ」と。 (あれ、アッハッハッ、そんな軽い感じなの?)
だが、良かった。疲れきっていた私にはなによりの朗報であった。 「カツ丼が食いたい。」
とテレビ番組で見た事がある光景の様に話し掛けていた。
夜空を見上げると東京にしては珍しくたくさんの星が輝いていた。
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