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第114話  はるか青春の土曜日

  「はーあ、今日で正月休みも終わりかー」
S君はそう言うと私の目の前で深いため息をひとつついた。
「そうか、それはちょっとさみしいね」
おざなりな返答をしながら、私はぼんやりと考える。
ショップをオープンさせたばかりの頃はそれこそひとりで年中無休、休みとはまったく無縁な日々をおくっていて、それが当たり前になっていった。
それから数年経って若かりしKがスタッフとして参加してくれた90年代あたりからようやく週一休みを取れるようになった私にとって、そのなにげなくも贅沢な言葉はややピンボケ気味に聞こえていたのだが・・・考えてみれば確かにそうだ。
サラリーマン時代を思い起こせば、やはりどれだけ盆休みや正月休みを待ち望んでいたものだったか・・・その年に2回しか廻ってこない長い休みが私自身の心の浄化作用にとって無くてはならない大いなる行事であったと言っても過言ではなかったように、一般的には現在進行形なのだ。あらためて本流社会の仕組みを実感する。
さらに時代をさかのぼって考えてみると、その壮大なる盆や正月もまぁいいのだが、日常の中の私は土曜日と言う週末のいち日が大好きだった。
休日である日曜日そのものよりも、授業なり仕事なりが半ドンで終了して余りある午後の時間が両手を広げて向かえてくれる解放感、また翌日が休みであると言う大きな余裕がまんべんなく心を満たしてくれていたものだ。太陽が世間を目いっぱい照らし続けている間に義務的な事のすべてが終わると言うこのうえない幸福感でこの日はいっぱいになった。
それに引き換え日曜日、予定が入っていればそれなりにそれを楽しむ事も可能だったのだが、ふっとした空き時間にむなしさがべったりと付きまとう。予定のない時などは朝から憂鬱が付きまとう。とうとうその日曜日になってしまった、今日が終われば明日からまた一週間・・・あーあ。
特に日曜日の夕方は厳しい。
「おさかなくわえたドラネコ・・・」
テレビからこれが聞こえてきたらさぁ大変、もやもやと私の気持ちを蝕んでいたむなしさはグンッとピークを向かえる。テレビを消したところで当のむなしさが消える去る訳もなく、なんならと幽かな楽しみにサザエさんをじっと見る始末。
「タッタカタカタカッツッタッタ・・・」
笑点を観ているあたりにはもう半泣き笑いだ。
その後のテレビ番組なんかははっきり覚えてもいない。
そうか、S君は今、そんな沈痛の大海原で懸命にもがいているのか・・・。
長い休みを終えそうな人たちの無念さは、幼い頃の日曜の夕方の風景を想い描くと、しみじみとわかるような気がする。
かつての土曜日・・・思えば遠く懐かしく、そしてなんだか幸せだった。

 
   
   
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